11_カメラ機材

SIGMA FPの固定モニターをチルト液晶に改造する方法

ホーム » 11_カメラ機材 » SIGMA FPの固定モニターをチルト液晶に改造する方法


こちらの改造により、SIGMA FP / FPLの使い勝手を大幅に向上できます。
例えばローアングル撮影や俯瞰撮影、自撮りなど撮影撮影体験が飛躍的に改善します。

この記事では、具体的な改造の手順とポイントを詳しく解説します。


1. SIGMA FP / FP Lのカメラとは

(SIGMA HP参照)

SIGMA FPは、世界最小級のフルフレームミラーレスカメラとして、コンパクトなボディとデザインと質感が洗練されたカメラです。
もちろん見た目だけでなく、本体でRAW動画撮影ができるなど、モンスター級の性能も誇るかなり尖ったカメラです。

しかし、シンプルなデザイン故にモニターは固定されている仕様のため、Vlogや自撮りには不便なことがあります。

そこで、本記事ではSIGMAの固定モニターをチルト式に改造することで、使い勝手を大幅に向上させることができます。

*本改造はメーカー保証対象外の改造となるため自己責任での改造内容となることをご注意ください。

2. チルト液晶のメリット

チルト液晶に改造することで以下のメリットが得られます。

メリット

  • 自撮りが容易になる
  • ども目線の低アングル料理撮影の俯瞰撮影での撮影が容易
  • チェストポジションで撮影できるので被写体に圧迫感を与えない
  • カメラへの愛着が増す

デメリット

  • メーカー保証対象外になる
  • 雨やチリのに弱くなる
  • チルト機構が増えるので耐久性が下がる

3. 改造に必要な道具と材料

改造を始める前に、必要な道具と製品を揃えておきましょう。以下のアイテムが必要です。

必要な道具と製品

DPL製のSigma fpおよびfpL用フリップスクリーン改造キット

これは改造のためのキットで、ヒンジやカバーなどが含まれています。

接着剤剥がし剤

固化したハードな接着剤剥がしを使用します。下記の製品で改造できます。

カメラ用ブロワー

端子のホコリを防ぐために使用します。

ハサミ

ナイロンテープを切るために使用します。

4. 改造の手順

以下に、具体的な改造の手順を示します。
詳細は下記の動画参照ください。

手順1:モニターの取り外し

まず初めに、元の固定モニターを取り外します。

  1. 準備
    • カメラの電源をオフにし、バッテリーとSDカードを取り外します。
    • 作業エリアを整え、必要な道具を手元に揃えます。
  2. モニター周囲の接着剤を剥がす
    • 接着剤剥がし剤をモニターに7~8滴塗布して、モニター周囲に剥がし剤を塗り込み接着剤を慎重に剥がします。
    • モニターを剥がすジグを組み立てます。ジグで吸盤で引っ張ってモニターを引き剥がす原理です。ネジを回すことでモニターに徐々に力が加わります。
  1. コネクタを外す

    • ジグでコネクタのストッパーを外し、配線を取り外しますモニターを外したら周囲に残ったシールをすべて剥がします

手順2:モニターに付属回路を接続

次に、新しいチルト機構を取り付けます。このステップでは、改造キットに含まれるヒンジを使用します。

  1. モニターのコネクタを接続
    • 写真のような向きでモニターの背面から出てるコネクタを接続します
  2. モニター背面にシールで貼り付ける
    • 付属の回路裏面にあるシールの離型紙を剥がし、モニター背面に取り付けます
  3. 付属回路のもう一端の方に付属の延長ケーブルを接続する
    • ジグでコネクタのストッパーを外し、ブロワーでホコリを飛ばして延長ケーブルを接続します

手順3:本体背面の接続準備

次に、新しいチルト機構を取り付けるための本体側の準備をします。

  1. ナイロンシールの取り付け
    • 本体背面の右上の配線と左下の配線にナイロンシールを貼り付け固定します。
  2. 配線の押し込み
    • 本体背面に貼ってあるオレンジ色のフィルムをピンセットを使いながら剥がします。
    • 本体背面の左側の配線を指で優しく押し込み、空間を作ります。
      後にこの空間にヒンジが入ります。

手順4:本体背面の接続準備

次に、新しいチルト機構を取り付けるための本体側の準備をします。

  1. チルト機構の準備
    • 改造キットに含まれるヒンジを取り出し、取り付けの準備をします。
    • ヒンジは180度上方、90度下方に動かすことができ、モニターを自由にチルトさせることが可能です。
  2. ヒンジの取り付け
    • モニターの背面に新しいヒンジを取り付けます。付属のネジを使用して、しっかりと固定します。
    • この際、ヒンジがスムーズに動作することを確認します。動きが硬い場合は、調整を行います。

手順5:テスト接続

映らなかったときの原因を探りやすくするため、このタイミングで接続チェックします

  1. コネクタをテスト配線
    • 写真の向きで本体側と延長ケーブルを接続します。
  2. 電源を入れてモニターが映るか確認する
    • バッテリーを入れて電源SWをONし、モニターが映ることを確認する。
    • タッチスクリーンが機能するかを確認する。
  3. 確認できたら延長ケーブルを本体側とモニター側両方から外す。

手順6:チルト機構のモニター側の接続

次に、新しいチルト機構を取り付けます。このステップでは、改造キットに含まれるヒンジを使用します。

  1. チルト機構とモニターの接着
    • チルト機構の窓を取り外す。
    • チルト機構の両面テープの離型紙を剥がし、モニターのコネクタがチルト機構の窓から見える向きで接着する。
  2. 延長ケーブルの接続
    • 延長ケーブルをチルト機構の窓から接続します。
    • 延長ケーブルを指で優しく三つ折りにします。
    • 窓を戻します

手順7:チルト機構の本体側の接続

次に、本体側にチルト機構を接続します

  1. ネジ穴の取り付け
    • 手順3で空間を作った場所にネジ穴を隙間に入れます。このネジ穴とチルト機構のネジ穴が噛み合うようにネジ穴を左側に置きます。
  2. ネジの取り付け
    • 付属のネジでチルト機構と本体をネジで締結します。
  3. 本体側のコネクタに接続
    • 下図の向きでコネクタを接続します。
  4. 再度モニターチェック
    • バッテリーを入れてモニターが映るかチェックします。
    • このあと背面カバーを閉じてしまうのでここで必ず確認します。

手順8:背面カバーの取り付け

改造キットには、カーボンファイバー製のカバーが付属しています。これを取り付けることで、モニターとカメラ本体の外観を整えます。

  1. カバーの取付
    • 改造キットに含まれるカーボンファイバー製のカバーを2種類取り出し、取り付けの準備をします。
    • 両面テープの離型紙を剥がし取り付けます

手順9:最終チェック

新しいチルト機構を取り付けたモニターをカメラに戻します。
本体とチルト機構にガタツキがないか、モニターが正常作動するか確認します。

  1. モニターの取り付け
    • 新しいチルト機構を取り付けたモニターをカメラに戻します。元の位置にしっかりと固定します。
    • この際、モニターがスムーズに動作することを確認します。チルト機構が正常に機能するかをチェックします。
    • 本体とのガタツキや隙間が無いことを確認します。
  2. 動作確認
    • 改造後、モニターのチルト機能が正しく動作するか確認します。また、タッチスクリーン機能が保持されていることを確認します。
    • 必要に応じて、モニターの動きを調整します。

5. 改造後の使用感

改造が完了したチルト機能付きのSigma FPカメラは、様々な用途でその効果を発揮しました。特に子供を撮影するときの低いアングルからの撮影は固定モニターでは撮影できなかった写真が撮れるようになりました。

機能性の向上以上に、自分で手塩にかけて改造したカメラの満足度と幸福度の上がり具合のほうが大きいですね。

6. トラブルシュート

実は私が改造したとき、手順5のテスト接続時にモニタが映らない問題が発生しました。
その時のトラブルシュートをまとめます。

かなり焦りましたが、大切なのは立ち止まって元の状態に戻して一つ一つ原因をチェックしてみることです。

トラブルシュート方法

  • ケーブルの裏表の確認
    • コネクタ接続されている延長ケーブルは表と裏があります。
      正しく接続されているか確認します。
  • コネクタの接続確認
    • コネクタ接続されている部分を外して再度接続することを全箇所実施して嵌合ができていないところが無いかチェックします。
  • 予備の付属回路で試してみる
    • モニター背面に接着する付属の回路には予備がついています。
      この予備の回路に変えて回路が壊れていないかチェックします。
  • 予備の延長ケーブルで試してみる
    • モニターと本体を接続するケーブルには予備がついています。
      この予備のケーブルに変えてケーブルが断線していないかチェックします。
    • 元に戻してみる
    • 改造前の配線に戻して、モニターが映るか確認します。

7. 改造のリスクについて

SIGMA FPのモニターをチルト液晶に改造することにはいくつかのリスクが伴います。

本改造は自己責任で行う必要があります。
改造後のカメラは元の状態に戻すことも可能ですが、メーカー保証対象外となる可能性がありますのでリスクを承知の上ご対応お願いいたします。

まとめ

SIGMA FPの固定モニターをチルト液晶に改造する手順は慎重な作業が求められます。
ただ、本記事の手順に従って作業を進めることで、安全かつスムーズに改造を完了することができるのでご安心ください。

この改造により、SIGMA FPカメラの撮影体験が飛躍的に向上します。正直SIGMA FPユーザー全員にこの改造をおすすめしたいです。

興味のある方は、ぜひこのガイドを参考にして、改造に挑戦してみてください。

それではいいカメラライフを!


投稿